ClaudeのPythonとTypeScriptのSDKに、ブラウザ操作と画面操作のツールセットを動かすクラスがベータで加わりました。Claudeが「ここをクリックしたい」「この文字を入力したい」と返した内容を、SDKが受け取って振り分け、自分で書いた「ドライバー」に渡します。これまで自前で書いていた繰り返しの処理や結果の組み立てを、SDKが代わりに担います。
Claudeの開発者向け公式アカウント(@ClaudeDevs)が日本時間2026年10月8日5時7分に告知し、Claude Platformのリリースノートには10月7日付で載っています。なお、APIのツールそのものは、リリースノートによると2026年8月19日にClaude APIで提供が始まり(画面操作のツールは同日ベータを終了)、8月20日からはGoogle Cloudでも使えるようになっています。今回新しいのは、SDK側のクラスです。本記事は公式資料を10月9日に確認してまとめました。編集部はこのツールセットで実際のドライバーを動かしておらず、内容は公式資料の記載に基づきます。
元資料:@ClaudeDevsの告知(SDKへのブラウザ操作・画面操作ツールセット追加)。2026年10月9日確認。

何が変わったのか
| これまで | 今回から | |
|---|---|---|
| Claudeの返答の扱い | クリックや入力の指示を受け取り、自分でコマンドに対応させる | SDKが受け取り、操作ごとに自分のメソッドへ振り分ける |
| 繰り返しの処理 | 結果を返して次の指示をもらうループを自分で書く | SDKのツールランナーが回す(自分で書くこともできる) |
| 安全の確認 | 開くURLの制限や実行前の確認を自分で作る | URLポリシー・ファイルポリシー・確認の関数を渡せば、SDKが呼び出しの前に実行する |
使い方は、SDKが用意したひな形のクラス(抽象クラス)を元に自分のクラスを作り(継承し)、navigateやleft_clickのような操作ごとに1つずつメソッドを書く形です。ブラウザ用はBetaAbstractBrowserToolset20260801、画面操作用はBetaAbstractComputerToolset20260801です。この継承したクラスを、公式資料は「ドライバー」と呼んでいます。
SDKがやること・自分で用意するもの
| SDKがやること | 自分で用意するもの |
|---|---|
| 操作ごとの呼び出しの振り分け | ブラウザやデスクトップ本体 |
| 渡したURLポリシー・ファイルポリシーの実行 | 操作を実行するドライバー |
| 渡した確認の関数の呼び出し | URLポリシーの中身 |
| Claudeへ返す結果の組み立て | 通信の制限(コンテナの外向き通信の規則など)と、隔離した実行環境 |
公式資料は、SDKにブラウザ、デスクトップ、完成したドライバー、URLポリシーのどれも含まれないと明記しています。お手本として、Chromium(Chromeのもとになっているオープンソースのブラウザ)をChrome DevTools Protocolで操作する最小の例と、VNCでデスクトップを操作する最小の例がclaude-quickstartsにありますが、本番用のコードではないとされています。
SDKの版・対応モデル・提供先
- SDKの版:変更履歴でツールセットの型が加わったのは、Pythonの
anthropic1.12.0と、TypeScriptの@anthropic-ai/sdk0.132.0です(どちらも日本時間2026年10月8日公開)。 - 対応モデル:ブラウザ操作のツールの資料では、Fable 5.1、Mythos 5.1、Fable 5、Mythos 5、Opus 5.5、Opus 5、Sonnet 5.5、Sonnet 5、Opus 4.8、Haiku 5.5が挙がっています。
- 提供先:ブラウザ操作のツールはClaude APIとGoogle Cloudで使えます。Amazon Bedrock、Claude Platform on AWS、Microsoft Foundryは対象外です。画面操作も、新しい形式(
computer_toolset_20260801)が使えるのはClaude APIとGoogle Cloudです。Amazon Bedrock・Claude Platform on AWS・Microsoft Foundryで使えるのは、ベータの旧版の形式です。 - トークン:ブラウザ用のツールセットを既定の構成で宣言すると、1回のリクエストに約6,600トークンの入力が加わります。既定で使える操作は27個で、設定で増やせる操作が4個あります。
ブラウザ用と画面操作用の使い分け
公式資料の説明では、作業がWebページの中で済み、ページを操作する場合や、JavaScriptで中身を作るページを扱う場合はブラウザ用を選びます。ブラウザ用は、画面写真と座標に加えて、ページの構造(要素、フォーム、タブ)も読んで操作します。デスクトップ全体を操作する必要があるときは画面操作用を使い、こちらは画面写真と座標だけで操作します。ページを読むだけ、または調べものだけなら、Webの取得や検索のツールで足ります。
なお、名前の似た「Browser Use」は、ブラウザ操作のオープンソースのツールを開発するbrowser-use社の製品名です。Anthropicのbrowser useツールとは別物です。検索結果では両方が並ぶので注意してください。同社は、今回のツールセット向けの連携も公開しています。
提携先のドライバー
自分でドライバーを書く代わりに、提携先の連携を使う道もあります。公式資料と告知では、Browser Use、Browserbase、Daytona、E2Bの4社が挙がっています。たとえばE2Bは、手元のマシンではなく、クラウド上の隔離されたLinuxのデスクトップ(Chrome入り)で操作させる連携を公開しています。ただしそのREADMEは、2026年10月9日の確認時点でリリース前の表記のままで、使い方の説明はまだ載っていませんでした。どれを選ぶ場合も、後述の安全設定のうちドライバーと実行環境の側が担う部分を、提携先がどこまで引き受けるかを確かめてから使ってください。
最小の形
次はPythonのSDKに付いている解説をもとにした、接続の構造を示す例です。このままコピーして実行できる完成コードではありません。my_browser、MyBrowser、backendは別途用意する実装です。example_policyは許可するドメインを判定する例で、リダイレクトやページ内の全通信まで遮断する仕組みではありません。実装の入口は公式SDKガイドのドライバー例と、そこから案内されるclaude-quickstartsです。
from anthropic import Anthropic
from my_browser import MyBrowser, example_policy
with MyBrowser(backend, url_policy=example_policy(["example.com", "iana.org"])) as browser:
runner = Anthropic().beta.messages.tool_runner(
model="claude-sonnet-5",
max_tokens=1024,
tools=[browser],
messages=[{"role": "user", "content": "Open example.com and tell me the page heading."}],
)
for message in runner:
print(message)ドライバーで実装しなかった操作は、APIへ「無効」と伝えられます。ツールランナーは1ターンのブラウザ操作を順に実行し、失敗したり断られたりした操作があると、そのターンの残りのブラウザ操作を実行しません。ランナーはドライバーを閉じないため、使い終わったら自分で閉じます。
初回の成功判定は、ブラウザが起動したことだけではありません。公式サンプルのREADMEに沿ってバックエンド・依存関係・認証を用意し、ネットワークを許可したテスト用の公開ページだけで試します。見出しを自分でも開いて照合し、開いたURLと返された見出しが一致することを記録します。次に許可外のURLが止まるかを無害な宛先で確認し、最後にブラウザが閉じたことを確かめます。これは試験手順の提案で、編集部がこのコードを実行した記録ではありません。
ブラウザ用を安全に動かすための6つの手順
Claudeは読んだページの内容をもとに次の操作を決めます。ページに仕込まれた文章が、社内のサービスへの接続やファイルの持ち出し、実際に影響のある操作を促すこともあります。公式資料は、使い捨てのブラウザ以外でドライバーを動かす前に、次の6つを求めています。
- 作業に要らないURLを
navigateで開かせないURLポリシーを書く。 - ドライバーの中で通信を途中で受け止め(インターセプトし)、同じ規則で確かめる。
- コンテナに外向きの通信の規則を置き、ドライバーから見えない通信をネットワークで止める。
- アップロードとダウンロードを決めた場所に限る。アップロードは使わない設定のままにしてもよい。
- 影響の大きい操作を、確認の関数(
confirm)で止める。 - ブラウザを、セッションごとに専用のコンテナや仮想マシンへ隔離する。
このうち1・4・5は、渡したポリシーと関数でSDKが実行し、2・3・6はドライバーと実行環境の側の仕事です。URLポリシーを渡さないと、SDKはURLを1つも確かめません。javascript_execとfile_uploadは既定で使えない設定になっており、使えるようにする場合は確認の関数が必須です。購入やメッセージの送信、規約への同意は普通のクリックや入力でも起きるため、人の承認を挟みたいならそれらの操作も確認の対象にするよう、公式資料は注意しています。ブラウザのプロファイルは、データや操作をClaudeに任せたくないアカウントにはログインしていないものを使います。
画面操作用で気をつけること
画面操作用のクラスには、URLポリシー、ファイルポリシー、ブラウザの状態報告がありません。SDK側で使える安全の仕組みは確認の関数だけです。文字入力やキー操作(type・key・hold_key)を実装する場合は、確認の関数を渡すか、設定でそれらの操作を無効にしないと、クラスを作る時点でエラーになります。確認の関数を渡さない場合は、クリックなどの操作に何も確認が入りません。公式資料は、デスクトップを作業専用の隔離した環境で動かすことに加え、画面に映る内容を信用しないことなども求めています。詳しくは画面操作のツールの資料を確認してください。
Claude Codeのブラウザ操作との違い
Claude Codeには、Chromeの拡張機能と連携してブラウザを操作するClaude in Chromeという機能があります。Claude Codeでの作業中にブラウザを動かしたいだけなら、こちらで足ります。今回のツールセットは、自分のアプリやエージェントにブラウザ操作・画面操作を組み込むためのSDKの部品です。編集部としては、ドライバーを書く作業をClaude Codeに手伝わせ、出来上がった仕組みはAPIから動かす分け方を提案します。
よくある質問
ベータの機能を本番で使ってよいですか?
ブラウザ用・画面操作用のクラスは、2026年10月9日の確認時点でどちらもベータです。お手本のドライバーは本番用ではないと明記されています。公式資料の安全の手順を満たし、使い捨ての環境で検証してから範囲を広げてください。
Claude Managed Agentsでも使えますか?
ブラウザ操作のツールの資料は、2026年10月9日の確認時点でClaude Managed Agentsでは使えないと説明しています。
まとめ:SDKは繰り返しと確認を担い、ドライバーと隔離は自分で用意する
今回の追加で、Claudeにブラウザや画面を操作させるアプリを作るとき、繰り返しの処理と結果の組み立て、URLや確認のチェックをSDKに任せられるようになりました。ドライバーと、通信の制限・隔離された実行環境は自分で用意する必要があります。まずは使い捨てのブラウザと最小のドライバーで、URLポリシーと確認の関数が効くことを確かめるところから始めてください。





