Claude Managed Agentsのdynamic workflowsは、エージェントが「たくさんのエージェントを段階ごとに動かし、結果をまとめるプログラム」を自分で書き、Anthropicのサーバーがそれを裏で実行する機能です。数百件の文書を読む、多くの情報源を突き合わせるといった、1つの会話では収まらない仕事を、手分けして進められます。Claude Codeにも同じ名前の機能がありますが、本記事で扱うのは、APIで使うManaged Agents側の機能です。
Claude Platformのリリースノートでは2026年10月9日付けでベータとして告知され、日本時間10月10日1時12分に@ClaudeDevsが公開ベータを発表しました。本記事は、発表と公式資料(Multiagent orchestrationとWorkflow runs)を2026年10月10日に確認してまとめました。APIの料金がかかるため、編集部はこの機能を実際には動かしていません。
元資料:@ClaudeDevsの発表(Managed Agentsのdynamic workflows公開ベータ)。2026年10月10日確認。

何ができるのか:エージェントが段取りのプログラムを書く
Claude Managed Agentsは、エージェントをAnthropicのサーバー上で動かすためのAPIです。dynamic workflowsをオンにしたエージェントは、仕事の量が多いと判断するとworkflow(ワークフロー)を書きます。ワークフローはプログラムで、ほかのエージェントを動かし、それぞれの結果を集めてまとめます。サーバーはそれを1回のworkflow runとして裏で実行し、その間、元のエージェントは別の作業を続けたり、ターンを終えたりできます。
公式資料によると、1回の実行は次の3層でできています。
- workflow run:サーバーが裏で動かす1回の実行。1つのセッションで複数の実行を同時に開けます。
- フェーズ:「契約書を読む」のような名前のついた段階。進み具合はフェーズの開始と終了で追えます。
- エージェントのスレッド:各フェーズで、プログラムが書いた指示を受けて動くエージェント。1体ごとに別のスレッドで動きます。
プログラムは、多数のエージェントを同時に動かす、あるエージェントの結果を次のエージェントへ渡す、レビューが通るまで書き直させる、失敗したエージェントを扱う、といった流れを自分で組みます。@ClaudeDevsの公式動画では、300件の契約書から支配権の変更に関する条項を探し、「300件中41件にある」とまとめて返す例と、セッションの予算で費用に上限をかけ、上限を上げると止まった実行が再開する様子が紹介されています。
サブエージェント・アドバイザーとの違い
Managed Agentsでは、エージェントがほかのエージェントに仕事を渡す方法が2つあり、作業の要所で別のモデルに相談するアドバイザーも使えます。
| 方法 | 動き方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| サブエージェント | エージェント自身が仕事を割り振り、報告を読んで次を決める | 報告の後にやり取りを続けたい、専門のエージェントを指定したいとき。サブエージェントがさらに別のエージェントへ仕事を渡すことはできず、同時に持てる子のスレッドは25まで |
| dynamic workflows | エージェントが書いたプログラムが、多数のエージェントを段階ごとに動かして結果をまとめる | 複数のエージェントが必要な仕事のほとんど。監査、移行、深い調査、突き合わせなど |
| アドバイザー | 1体が作業を続けながら、計画や最終確認の場面で別のモデルに相談する | 作業は1体で足りるが、要所で別のモデルの判断がほしいとき |
大きな違いは、誰が次の手を決めるかです。サブエージェントでは元のエージェントが毎回判断しますが、ワークフローではプログラムが判断し、結果もプログラムの中で受け渡されます。そのぶん、元のエージェントはユーザーとのやり取りや、実行の進み具合の報告に集中できます。一方で、元のエージェントが実行中のスレッドに追加の指示を送ることはできません。各スレッドは、実行の終わりまでにサーバーがアーカイブします。
有効にする手順
エージェントを定義するとき、multiagentのtypeをmultiagent_20261001にします。この型では、サブエージェントとワークフローが最初からどちらもオンです。リクエストにはベータの指定managed-agents-2026-04-01が必要です。公式資料の例(契約書をレビューするエージェント)をcURLで書くと次のとおりです。
curl -fsS https://api.anthropic.com/v1/agents \
-H "x-api-key: $ANTHROPIC_API_KEY" \
-H "anthropic-version: 2023-06-01" \
-H "anthropic-beta: managed-agents-2026-04-01" \
-H "content-type: application/json" \
-d @- <<'EOF'
{
"name": "Contract Reviewer",
"model": "claude-opus-5-5",
"system": "You review contracts. When you're asked to review more than a few contracts, start a workflow run that reads them in parallel and combines the findings. Review one or two contracts yourself, without a run.",
"tools": [{"type": "agent_toolset_20260401"}],
"multiagent": {"type": "multiagent_20261001", "workflows": {"type": "enabled"}}
}
EOFワークフローだけを使いたい場合は、"subagents": {"type": "disabled"}を足します。注意点は次の3つです。
- 既存のセッションは変わらない:セッションは作られたときの設定を写し取るため、後からエージェントを変えても既存のセッションには反映されません。
- 予算は作成時に決める:セッションの予算は、作るときにしか付けられません。予算に届くと実行は一時停止し、予算を上げるか外すと再開します。ただし、割り込みでも止めた実行は再開しません。また、各スレッドが送りかけていたリクエストは最後まで処理されるため、スレッドの数だけ予算を少し超えることがあります。
- ツール名の
ant__は予約済み:ant__で始まる名前の自作ツールがあると、更新やセッションの作成が400エラーになります。ワークフローをオンにする更新と同時に、名前を変えるか外します。
いつ使うかは、システムプロンプトで伝える
ワークフローを始めるための専用のAPIはありません。ユーザーのメッセージから、エージェントが使うかどうかを決めます。そのため、どんな仕事で使い、どんな小さな仕事は自分でやるかを、システムプロンプトに書いておきます。上の例のシステムプロンプトは、日本語にすると次の意味です。
あなたは契約書をレビューする。数件より多い契約書のレビューを頼まれたら、並行して読み、指摘をまとめるworkflow runを始める。1〜2件なら、実行を使わずに自分でレビューする。
公式資料は、実行の進め方も指示できると説明し、次のような例を挙げています。
- 分け方:契約書1件に1体のエージェントを付け、別のエージェントが全件をもう一度見直す。見直しで落ちたものはやり直してから再確認する。
- 失敗したとき:1体の失敗で実行全体を失敗にしない。読めなかった契約書は「未確認」として一覧にする。
- 時間の上限:実行に1時間の上限を付ける。
実行の中のエージェントはすべてトークンを使うため、本当に必要な仕事に絞るよう、公式資料は勧めています。
実行の進み方と、結果の受け取り方
実行の様子は、セッションのイベントの流れにworkflow_run.*のイベントとして届きます。
| イベント | 意味 |
|---|---|
workflow_run.created | 実行が始まった。名前、説明、予定しているフェーズの一覧が入る |
workflow_run.status_running / status_idle | 動き出した/予算などで一時停止した |
workflow_run.phase_started / phase_ended | フェーズに入った/出た |
workflow_run.status_ended | 実行が終わった。resultに終わり方が入る |
workflow_run.error | 実行のエラー、または開始を断られた |
注意したいのは、resultがcompletedでも「仕事が合格した」という意味ではないことです。公式資料は、スレッドでの作業が失敗していても実行はcompletedで終わることがあるため、失敗した作業は各スレッドのイベントを読んで確かめるよう書いています。実行が終わると、元のエージェントに結果を読む番が回り、ユーザーに答えるか、次の実行を始めます。
上限と費用
| 上限 | 値(2026年10月10日時点) | 超えたとき |
|---|---|---|
| 1回の実行で同時に動くスレッド | 64 | 1つ終わるまで次を作らない(保証された値ではない) |
| 1回の実行で始めるエージェントの総数 | 1,000 | thread_limit_errorで実行が終わる |
| 実行の寿命 | 既定24時間(エージェントが短く設定できる) | timeout_errorで終わる。一時停止中も時間は進む |
| 1つのセッションで同時に開ける実行 | 既定10 | それ以上の開始は断られる |
実行そのものに別料金はありません。ただし、Managed Agentsの料金は、トークンとセッションの実行時間の2本立てです。公式の料金ページによると、実行時間はセッションがrunningの状態にある間だけ数えられ、1時間あたり0.08ドルです。公式資料は、実行が動いている間は、どのスレッドも作業していなくてもセッションがrunningのままになると説明しています。実行の寿命は最長24時間なので、長い実行ではこの時間も見積もりに入れておきましょう。中のエージェントが使ったトークンは、モデルごとの料金で通常どおり請求されます。実行のエージェントのリクエストは、組織のMessages APIのレート制限にも数えられます。また、同じ作業に対してスレッドが複数作られることがあるため、エージェントが呼ぶツールは、2回呼ばれても問題がない作りにしておくよう公式資料は勧めています。
公式資料の説明では、ワークフローが自分で定義するエージェント(インラインのエージェント)は、セッションのエージェントと同じモデルで動きます。一部のエージェントだけ別のモデルにしたいときは、そのエージェントを別に作ってworkflows.predefined_agentsに登録します。
Claude Codeのdynamic workflowsとの違い
Claude Codeにも、同じ名前のdynamic workflowsがあります。Claude Codeでは、Claudeが書いたJavaScriptのスクリプトを、手元のClaude Codeが会話とは別の場所で実行します。スクリプトは~/.claude/projects/の下に保存され、読み直したり、直して再実行したりできます。同時に動くエージェントは既定で16まで、1回の実行で1,000体までです。
Managed Agentsのワークフローは、同じ考え方をAPIのサーバー側で動かすもので、自社のアプリや業務の仕組みに組み込む人向けです。
| Claude Code | Managed Agents | |
|---|---|---|
| 動く場所 | 手元のClaude Code | Anthropicのサーバー |
| 使い方 | 会話で頼む、またはultracodeで自動 | APIでエージェントを定義し、メッセージで頼む |
| 同時に動くエージェント | 既定16まで | 1回の実行で64まで |
| 1回の実行の上限 | 1,000体 | 1,000体 |
| 費用 | プランの使用量、またはAPIの料金 | APIのトークン料金とセッションの実行時間 |
編集部の見立てでは、手元で開発作業をまとめて回したいならClaude Code、自社のサービスとして大量の文書処理を自動で回したいならManaged Agents、という分け方が基本になります。なお、Claude Code v2.1.296では、ワークフローのエージェントのモデルをそろえる環境変数が加わりました(v2.1.296の解説)。
よくある質問
Claude ProやMaxのプランで使えますか?
Managed AgentsはClaude APIの機能で、トークンとセッションの実行時間がAPIの料金として請求されます。2026年10月7日から、Max 5x(毎月100ドル)、Max 20x(毎月200ドル)、Team(最大500ドル)のプランに毎月のAPIクレジットが付くようになり、公式の案内ではManaged Agentsにも使えるとされています。Proのプランは対象外です。クレジットを使うには、Claude Consoleの組織をプランにつなぎます。詳しくはMax・TeamのAPIクレジットの解説をご覧ください。
エージェントに「必ずワークフローを使って」と指示できますか?
開始はエージェントの判断ですが、メッセージやシステムプロンプトで、いつ使うかを伝えられます。ユーザーのメッセージで実行を頼むこともできると、公式資料は説明しています。
費用が膨らまないか心配です。
セッションを作るときに予算を付けると、実行を含むセッション全体の費用に上限をかけられます。予算に届くと実行は一時停止します。まずは対象を絞った小さな仕事で、トークンの使い方を確かめてから広げるのがおすすめです。
まとめ:数が多い仕事を、サーバーに手分けさせる
dynamic workflowsは、Managed Agentsのエージェントが自分で段取りのプログラムを書き、多数のエージェントに手分けさせる機能です。オンにするのはmultiagent_20261001の型を選ぶだけですが、いつ使うかの指示、セッションの予算、completedでも中身を確かめる仕組みの3つを、最初に用意しておきましょう。





