CodexでGitLabのマージリクエスト(MR)をレビューする手順は、OpenAIの開発者向け資料に載っています。アカウントの接続、Webhook、レビューの設定をそろえ、MRのコメントに@codex reviewと書く流れです。一方、GitLabの接続を説明したOpenAIのヘルプセンターの記事(以下、接続のヘルプ記事)は、GitLabのクラウドレビューは利用できないと書いています。どちらが現状に合うのかを、編集部は実際の環境で確かめていません。この記事では、資料の食い違い、GitLab.comと自社運用のGitLabの準備の違い、依頼の方法、指摘の直し方、反応がない時の確認順を説明します。
この記事は、OpenAIの公式資料とGitLabの公式資料に基づく解説です。参照したのは、OpenAIのReview GitLab merge requests with Codex、Code review、Pricing、Cloud environments、Codex Cloud (Legacy)、Authentication、Changelog、ヘルプセンターのGitLabの2記事と、GitLabのWebhooksです。いずれも2026年11月2日に確認しました。GitLabでの実測はしていません。コメントやルールの例のうち、公式の例でないものは編集部が用意した教材です。
GitLabでCodexを使う入口:OpenAIの3つの機能を分けて考える
OpenAIのGitLab向けの機能には、役割の違うものが3つあります。ここを分けないと、「接続したのにレビューが来ない」という状態になります。
| 機能 | できること | 状態 |
|---|---|---|
| MRへのクラウドレビュー(この記事の中心) | @codex reviewや自動レビューで、指摘をMRに投稿する | 開発者向け資料ではベータ版。接続のヘルプ記事は利用できないと書く(下で説明) |
| GitLabプラグイン | ChatGPTやCodexから、プロジェクト、差分、MR、パイプラインを読み、許可された操作をする | ベータ版 |
| Code Reviewプラグイン | デスクトップアプリとWebでMRを開き、変更と指摘を読み、Codexに質問する | プレビュー |
手元の差分を/reviewで見てもらう方法や、指摘の採否の決め方はコードレビューの解説にまとめています。この記事は、GitLabのMRに結果を返す部分を扱います。
クラウドレビューを使えるかは、公式資料の記述が分かれている
確認した時点で、OpenAIの資料には次の食い違いがあります。先に知っておくと、試す時の混乱を減らせます。
| 論点 | 開発者向けのGitLabの資料 | 接続のヘルプ記事 |
|---|---|---|
| クラウドレビュー | @codex reviewと自動レビューの設定手順を説明している | GitLabのクラウドコードレビューは利用できないと書いている |
| 対象のプラン | GitLabの対応は、すべてのChatGPTプランで利用できると書いている | プラグインの節で、プランとワークスペースの設定によって変わることがあると書いている |
それぞれの根拠も並べておきます。開発者向け資料の記述を支えるものは3つあります。Code reviewの資料にある案内、管理者向けのヘルプの「Codexのコードレビューを使うならGitLabのイベントの受け取りを設定する」という記述、公式の変更履歴にある2026年8月19日の項目(GitLab対応をベータ版として案内)です。一方、接続のヘルプ記事は更新日が「4日前」と表示されており、管理者向けのヘルプの「13日前」より新しい記事です(どちらも2026年11月2日の表示)。どちらが正しいかを、編集部は判定していません。
2つの資料で共通しているのは、GitLabを接続しただけではレビューは始まらないという点です。編集部では、本格的に広げる前に、代表的なMRを1つ選んで試すことをすすめます。
GitLabの作業はLegacyのクラウドチャットで動くと書かれている
開発者向け資料によると、MRのコメントから修正やタスクを頼むと、Legacyのクラウドチャットが始まります。Cloud environmentsの資料には、Codex Cloud (Legacy)は廃止の予定だと書かれています。同じ資料では、現行のクラウド環境で未対応の項目にGitLabが挙がっています(ロードマップにあるとの記載です)。Legacyの資料で対象として挙げられているサービスにも、GitLabの名前はありません。現行のクラウド環境の案内だけを読むと、GitLabの資料の手順と矛盾しているように見えます。環境を作る時は、GitLabの資料の手順に沿って進めます。
GitLabのレビューに必要なプランと権限
自分のプランで使えるかは、次の表で確かめます。確定できない点は、確定できないと書いています。
| 項目 | 資料の記述 |
|---|---|
| ChatGPTのプラン | 開発者向け資料と変更履歴は、すべてのChatGPTプランと書く。料金ページにはGitLabの行がなく、Plusのカードにクラウド連携の記載があり、FreeとGoのカードには記載がない。FreeとGoで使えるかは確定できなかった |
| サインインの方法 | 認証の資料によると、Codex CloudにはChatGPTでのサインインが必要。料金ページのAPIキーの欄にも、クラウドの機能はないと書かれている |
| ワークスペースの管理者 | 管理者はGitLabの接続を無効にでき、プラグインの利用範囲も制御する。自社運用のGitLabでは、管理者の設定が前提になる |
| GitLabのプラン | GitLabの資料では、プロジェクトのWebhookはFree以上、グループのWebhookはPremium以上。変更履歴によると、自社運用のGitLabでWebhookを使うには19.0以降が必要 |
GitLabのレビューに必要な3つの準備
全員に必要なのは次の3つです。自社運用のGitLabでは、これにサービスアカウントが加わります。
| 準備 | 役割 | GitLab.com | 自社運用(Self-Managed、Dedicated) |
|---|---|---|---|
| アカウントの接続 | GitLabのユーザーをCodexにつなぐ | 通常の接続手順 | 管理者がアプリのテンプレートを公開してから、各レビュー担当者が接続 |
| Webhook | MRとコメントのイベントをCodexへ届ける | プロジェクトの環境が必須 | プロジェクトの環境か、グループのWebhook |
| レビューの設定 | 対象の作成者と動く条件を決める | Codexのレビュー設定 | Codexのレビュー設定 |
プロジェクトの環境とは、Codex Cloudの中で、そのプロジェクトのコードを動かすための設定です。プロジェクト固有のレビュールールを使うなら、リポジトリにAGENTS.mdも置きます。なお、このベータ版には、デスクトップアプリのCreate pull requestのようなGitHub向けのリポジトリ操作は含まれません。

GitLab.comでレビューを準備する手順
- ヘルプセンターの手順に沿って、ChatGPTのプラグインの一覧からGitLabを入れ、Connectで接続します。GitLabの認可画面が出たら許可します。接続したGitLabユーザーが閲覧できるプロジェクトだけが対象です。
- Codexでも、GitLabのアカウントを接続します。
- Codex Cloud > Settings > EnvironmentsでGitLabのプロジェクトを選び、プロジェクトの環境を作ります。GitLab.comでは、レビューを有効にするためにこの環境が必要です。
- 環境を作る時にEnable Codex activity from GitLabをオンにします。これでプロジェクトのWebhookが入ります。Webhookの作成には、プロジェクトのMaintainerかOwner、管理者、またはWebhookを管理できるカスタムロールが必要です。
- Codexのレビュー設定でリポジトリを選び、ポリシーを決めます。自動レビューを使う時は、Review codeのAutomatic reviewをオンにして、Reviewで対象の作成者を、Triggerで動くタイミングを選びます。
自社運用のGitLabでレビューを準備する手順
Self-ManagedとDedicatedは、管理者の作業が増えます。流れは次のとおりです。
- ワークスペースの管理者が、管理者向けのヘルプに沿ってGitLabのアプリのテンプレートを設定して公開します。GitLabにOAuthアプリケーションを作る権限(グループのOwnerかインスタンスの管理者)も要ります。
- 各レビュー担当者が接続します。
- 管理者がCodex Cloud > Settings > Connectorsでサービスアカウントを用意します。
- プロジェクトの環境かグループのWebhookを設定し、GitLabのイベントをCodexで受け取れるようにします。
- Codexのレビュー設定で、ポリシーを選びます。
サービスアカウントの2つの作り方
| 方法 | 操作 | 確かめること |
|---|---|---|
| Codexに作らせる | Set up service account > Create a service account | 作業する管理者にGitLabインスタンスの管理者権限が要る。Selected groupsかSelected projects onlyで範囲を選ぶ。apiスコープのトークンが作られる |
| 既存のアカウントを使う | Use an existing service accountにトークンを貼る | 対象のグループやプロジェクトにDeveloper権限。トークンはapiスコープで、期限は30日以上先。保存後は再表示されない |
有効なトークンがないと、CodexはGitLabのイベントに応答できません。編集部では、トークンの期限を担当者の予定に入れておくことをすすめます。
グループのWebhookとプロジェクトの環境の違い
グループのWebhookは、グループ全体でレビューを有効にする方法で、自社運用のGitLabで使えます。ワークスペースの管理者がEnvironments > GitLab activity > Manage groupsから設定します。条件は2つです。接続したユーザーがグループのOwnerであることと、GitLabがPremiumかUltimateの19.0以降であることです。
グループのWebhookだけでは、レビューしかできません。次の場合はプロジェクトの環境を作ります。
- ファイルの編集、コマンドの実行、MRのブランチへのプッシュまで頼む
- レビューが、プロジェクト固有のシークレット、ネットワークアクセス、セットアップのコマンドに依存する
署名付きのWebhookはGitLab 19.0以降が必要です。Self-Managedの19.0では、webhook_signing_tokenの機能フラグが有効かも確かめます。
マージリクエストでCodexのレビューを依頼する
まず、レビューの対象と結果の行き先を押さえます。
| 項目 | 開発者向け資料の記述 |
|---|---|
| 何を見るか | MRの差分。比較の基点の詳しい説明は資料にない |
| どこで動くか | Codex Cloud。プロジェクトの環境があれば、それを使う |
| 結果の行き先 | MRのディスカッションとノート |
| できない場合 | GitLabが、畳まれた差分や大きすぎる差分を省くと、レビューを完了できない(変更履歴) |
手動で頼む時は、MRのコメントに次のように書きます。
@codex review
Codexが👀で反応し、レビューを投稿します。結果はチームメンバーの指摘と同じ場所で読めます。特に見てほしい点がある時は、資料の例のように続けて書きます。
@codex review for issues in the database migration
自動レビューを選ぶ時の違い
自動レビューは、Codexの設定でAutomatic reviewsをオンにし、リポジトリのポリシーとトリガーを選びます。コメントなしで、条件に合うMRをレビューします。P0、P1、P2は指摘の区分で、それぞれの定義はこの資料には書かれていません。
| 比べる点 | 手動(@codex review) | 自動 |
|---|---|---|
| 既定で含まれる指摘 | P0、P1、P2 | P0、P1 |
| 動くタイミング | コメントした時 | On MR open、On every push、Smart Trigger (Experimental)から選ぶ |
| 向いている場面(編集部の整理) | 試す段階、特定の観点を見てほしい時 | 運用が固まり、対象のMRを絞れた後 |
編集部では、まず手動で指摘の質を確かめ、自動にする時もOn MR openから始めることをすすめます。On every pushはプッシュのたびに動くので、確認する量が増えます。料金ページによると、Code Reviewの利用枠を使うのはGitHub経由のレビューだけです。それ以外のレビューは、通常の利用枠を使います。利用枠があとどれだけ残っているかの確かめ方は、利用上限の解説にあります。
AGENTS.mdでGitLabのレビュールールを決める
開発者向け資料によると、CodexはAGENTS.mdを探し、該当するコードレビューのルールに従います。## Code Review Rulesの節は、ルールの対象に最も近いファイルに書いてください。置き場所は、リポジトリ全体のルールならルート、サービス固有のルールならそのサービスのフォルダです。変更された各ファイルについて、Codexはルートに書かれたルールと、そのファイルに当てはまる個別のルールを使います。
次は編集部の教材です。請求処理を想定しています。
## Code Review Rules
### 請求金額
- 金額の計算に浮動小数点の型を新しく使わない。
安全な方法: 最小の通貨単位の整数で計算する。
開発者向け資料は、最初は2、3個の短いルールから始めるよう勧めています。良いルールの条件は次のとおりです。
- リポジトリ固有で、影響の大きい動作を書く(互換性、データの境界、危険な副作用)
- 安全な方法や例外も書く
- 変わりやすい関数名より、守りたい結果を書き、対象のコードの近くに置く
- 整形やリントのような機械的な確認は、CIに任せる
資料は、このルールがテスト、ブランチの保護、必須の承認の代わりにはならないと書いています。Codexの指摘がなくても、これらは外さないようにします。ルールの書き方全体はAGENTS.mdの解説を参照してください。
Codexの指摘をGitLabのマージリクエストで直す
指摘を直してもらう時も、MRのコメントで頼みます。資料の例は次のとおりです。
@codex fix the P1 issue
@codexの後にreview以外の言葉を続けると、MRの内容を踏まえたLegacyのクラウドチャットが始まります。たとえば次のように頼めます。
@codex fix the CI failures
どちらもプロジェクトの環境が必要です。グループのWebhookだけではレビューしかできません。Codexに権限がある時は、Codexが修正をMRのブランチへプッシュできます。編集部では、プッシュされた差分を人が読み、パイプラインの結果を確かめてから、指摘を解決済みにすることをすすめます。
GitLabプラグイン側では、設定によってMRの承認やマージまで行えます。接続のヘルプ記事によると、管理者がConfigure actionsで操作を選び、Configure approvalsで確認のタイミングを決めます。GitLab側で設定した権限の制限は、そのまま適用されます。承認とマージは人が行うと決めているチームは、ここも確かめておきます(編集部のすすめ)。
CodexがGitLabで反応しない時の確認順
開発者向け資料の確認項目を、編集部が順番に並べました。
| 確かめる順 | 見る場所 | 確かめること |
|---|---|---|
| 1. 対象のアプリと環境 | Codexの設定 | GitLab.com用か自社運用用か、正しいGitLabのアプリを選んでいるか。プロジェクト固有の設定なら、対象のプロジェクトの環境があるか |
| 2. Webhookの配信 | GitLabのWebhooks > Recent events | MRとノートの配信が成功しているか。GitLabの資料によると、ここに出るのは直近2日分 |
| 3. レビューの設定 | Codexのレビュー設定 | Code reviewかAutomatic reviewsが有効か。MRがポリシーとトリガーに合っているか |
| 4. Webhookの条件(自社運用) | GitLabの設定 | 署名付きか。SSLの検証が有効か。19.0以降か。19.0ならwebhook_signing_tokenの機能フラグが有効か。失敗で自動的に無効になったフックを直したか |
| 5. トークン(自社運用) | Connectors | 既存のトークンが有効でapiスコープを持つか。Codexが作ったサービスアカウントなら、設定が完了していて、対象のグループやプロジェクトが有効になっているか |
| 6. サービスアカウントの権限(自社運用) | GitLabのメンバー設定 | 接続したユーザーだけでなく、サービスアカウントにもDeveloper権限があるか。イベントの受け取りとサービスアカウントの権限は別の設定 |
| 7. 差分の大きさ | MRの画面 | 差分が畳まれていないか、大きすぎないか(変更履歴) |
| 8. もう一度依頼 | MRのコメント | @codex reviewと書く |
プロジェクトが見えない時は、接続したGitLabのアカウントと、GitLab.comか自社運用かのアプリの選択を確かめます。外部との通信を遮断しているGitLabについて、接続のヘルプ記事は「クラウドコードレビューは利用できない」とだけ答えています。ここまで確かめても反応がなければ、上で書いた資料の食い違いのとおり、クラウドレビューがまだ使えない可能性もあります。OpenAIのサポートに確認してください(編集部のすすめ)。
まとめ:GitLabは3つの準備をそろえ、代表的なMRで手動から試す
CodexでGitLabのMRをレビューするには、アカウントの接続、Webhook、Codex側のレビュー設定をそろえます。自社運用のGitLabでは、サービスアカウントも用意します。接続だけではレビューは始まりません。クラウドレビューを使えるかどうかの公式資料の記述が分かれているので、代表的なMRで@codex reviewを試して反応を確かめ、指摘の質を見てから自動レビューやルールを広げます。
Codexの全体像から確かめたい場合は、Codexとは?使い方と仕事でできることを読んでください。開発チームのレビューの決まりや権限を整理したい場合は、法人向けのご相談も受け付けています。





